ワイヤロープの点検と廃棄基準@

ワイヤを使用する時は点検を確実に行い、次の劣化が1つでも発見されれば廃棄処分してください。
使用されますと吊り荷の落下事故等の危険があります。(労働安全衛生法 クレーン等安全規制による)

点検

●時期・日常点検(作業前)、定期点検(月次点検)および必要時
●内容・断線、磨耗、腐食、形崩れ、端末金具及び取付部

点検箇所 点検項目 点検方法 廃棄基準 廃棄の実例
全体 キンク プラスキンク(よりの縮まる方向のキンク)
やマイナスキンク(よりの戻る方向のキンク)
の有無を点検する
局部的によりが詰まったり、戻ったりして、
キンクを発生したもの。



《参考》キンクによる強度低下率
ロープの状態 強度低下率
プラスキンク 20〜40%
マイナスキンク 35〜60%
キンクを直したもの 約20%

構成 6XFi(29) O/O 20mm
実測径 20.5mm 破断荷重 125kN
残存強度率 52.7%
構成 6XFi(29) O/O 20mm
実測径 20.45mm 破断荷重 145kN
残存強度率 61.2%

つぶれ
(偏平)
局部的に押しつぶされた部分がないか
点検する。
局部的な押しつぶしによる偏平があるも
の。ノギスで短径d minおよびd maxを測
定したときd max/dmin≧1.5となったもの。

《参考》つぶれによる強度低下率
@程度が軽い場合は、殆ど無い。
A上記廃棄基準に達した場合は、
20〜40%

構成 6X24 O/O 12mm
短径・長径 9.9X14.9 破断荷重 62.3kN
残存強度率 87.7%

構成 6X24 G/O 12mm
短径・長径 8.0X15.2 破断荷重 52.7kN
残存強度率 80.0%
腐食
(サビ)
表面の腐食の有無を点検する。
あれば布地で拭いて取れる薄いサビか、
表面に凸凹が生じているかを調査する。
内部はスパイキ等でストランドを持ち上げ
て調査する。
素線表面にピッティングが発生して、あば
た状になったもの。
内部腐食によって素線が縮んだもの。

《参考》
腐食(赤錆)による強度低下率
@程度が軽い場合は、10〜20%
A著しい場合は、40%以上

構成 6X24 O/O 14mm
実測径 14.25mm 破断荷重 73.8kN
残存強度率 76.4%

構成 IWRC 6XFi(29) O/O 28mm
実測径 28.2mm 破断荷重 183kN
残存強度率 34.5%
磨耗 全長、全周にわたり磨耗の状況を点検する。 素線と素線の隙間がなくなったもの。
(右表の減少率は、公称径に対する値)

構成 IWRC 6XFi(29) O/O 30mm
実測径 29.75mm 破断荷重 458kN
減少率 -0.83% 残存強度率 75.3%

構成 IWRC 6XFi(29) O/O 30mm
実測径 29.53mm 破断荷重 369kN
減少率 -1.6% 残存強度率 60.8%
うねり うねりの有無を調査する。 著しくうねっているもの。
または局部的なうねりの幅(d1)がロープ
径(d)の4/3以上になったもの。
ストランドの
落ち込み、浮き
ストランドの落込みや浮きが無いか点検
する。
ストランドの落込み、飛び出し、かご状の
ものがあるもの。




ワイヤロープの
点検と廃棄基準@
ワイヤロープの
点検と廃棄基準A
ワイヤロープ ステンレスロープ